始まりと終わり

March 04, 2026

持病の精神病の発作により、ついこの間まで入院していた。約九ヶ月間にも及ぶ入院生活は長かった。たくさんの時間はあるのに何かしようという意欲が湧かなくて、一日の大半の時間を持て余していた。食事は朝昼晩の三食で、質素なものが多かったが、やることのない日常において、食事の時間を基準に時間が過ぎていった。

発作が起きたのは今回が二回目で、以前は卒なくこなしていたことができなくなった。具体的には同時並行で何かをするのが難しかったり、料理が上手くできなかったり、絵や字も下手になってしまった。一番影響があったのがお風呂で、入浴する度に服を脱いで、頭と体を洗って、お湯に浸かって、着替えて、髪を乾かして、とやることが多くて、お風呂に入ることがつい億劫な気持ちになってしまうことが多くなった。

退院日を控えたある日、主治医に「退院後はどんな生き方をしたいですか?」と聞かれた。その漠然とした問いに私はただ「以前のように働いて、少しずつ自分のペースを取り戻したい」としか答えることができなかった。少し前に哲学を学んでいたが、入院生活を通して自分の生き方の軸というのが最近定まった気がする。すごくちっぽけなことだけれど、「平穏な日常を守りたい」というのが今の自分の目標だ。

年末に外泊許可を取って実家へ帰省している時、以前蔵前のカフェで書いた一年前の自分からの手紙が届いた。一昨年の年末は、ちょうど仕事納めをして、バレエのくるみ割り人形を観に行っていた。あの頃の自分は人間関係に葛藤しながらも、自分自身を大事にして生きていた気がする。過去の自分と今の自分を比べてみると、過去の自分ができていたことができなくなっていて、その差に落胆してしまう。

手紙を読み返してみると、過去の自分がいつも答えを知っていたんだなと思う。ただ今は再スタートの地点に立ったばかりなのだから、あまり悲観的にならずに少しずつ、一歩ずつ、前へと進めていけたらいいなと思う。

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